2009(平成21)年の改正薬事法によって新設された資格「登録販売者」。一般用医薬品を販売できる資格としてドラッグストアや薬局を中心に活躍しています。
登録販売者の概要や、資格の魅力について解説します。
「登録販売者」の試験に合格したら
「登録販売者」とは、薬局、ドラッグストア等で市販されている医薬品を販売するための資格です。なお、市販されている医薬品は「一般用医薬品」と言われ、販売できるのは薬剤師と登録販売者に限られています。
実務経験のない場合、登録販売者の試験に合格したら、店舗が所在する自治体に登録し、「研修中」の登録販売者として勤務します。「研修中の登録販売者」から「管理者要件を満たした登録販売者」になるには下記条件が必要です。
① 過去5年間のうち、薬局等における従事期間の合計が通算して2年以上の者
② 過去5年間のうち、従事期間の合計が通算して1年以上の者であって、継続的研修並びに追加的研修を修了した者
③ 従事期間が通算して1年以上であり、過去に店舗管理者又は区域管理者として業務に従事した経験のある者
「登録販売者」と「薬剤師」の違い
登録販売者と薬剤師の違いについて説明します。
まず、販売業務の違いです。一般用医薬品の中で登録販売者が販売できるのは第2類医薬品、第3類医薬品のみです。薬剤師はそれに加えて副作用や薬の飲み合わせについて特に注意を要する第1類医薬品の販売が可能です。
登録販売者は薬剤師に次ぐ医薬品のプロフェッショナルという位置づけになります。
登録販売者と薬剤師を「資格」の面から見ると、薬剤師は国家資格であり、6年制の薬学課程の大学を卒業して受験資格を取得しなければなりません。一方、登録販売者は受験資格に制限がなく、誰でも受験をすることができます。
活躍の場が広がる「登録販売者」
登録販売者の就業先は主として薬局、ドラッグストアで、近年はコンビニエンスストア、ホームセンター、スーパーマーケットなどに活躍の場を広げています。
例としてドラッグストア勤務の登録販売者の一般的な仕事をご紹介します。
・仕事の基本は接客。 ・来店されたお客様に一般用医薬品に関する情報提供やアドバイスを行う。 ・医薬品以外の商品の販売やレジ対応。 ・搬入された医薬品や関連商品の納品、品出し。 ・店頭商品の販売状況チェック、商品補充、店内在庫の管理。 ・店内用のPOPづくり、セール等の販売促進業務。 |
日用品や食品まで揃うドラッグストアでは、登録販売者の仕事も多岐にわたります。お客様に商品がどこにあるか尋ねられることが多いので、店舗全般のレイアウトも頭に入れておきましょう。
資格を活かすために特に一般用医薬品の知識や情報はしっかり押さえたいものです。また
登録販売者としてさまざまな経験を積みながら、店舗マネジメントのスキルを身に着け、店長、更にはエリアマネージャーに昇格する人も多くいます。
登録販売者資格の魅力
登録販売者として働く魅力は次の通りです。
■転職に有利
薬剤師に次ぐ医薬品販売のスペシャリストとして活躍が期待されます。
■さまざまな雇用形態
アルバイト、パート、派遣社員、正社員など雇用形態もさまざまです。自分らしい働き方が選べるため、ワークライフバランスの維持にもつながります。
■活躍のフィールドが広い
薬局やドラッグストアのほか、コンビニエンスストア、ショッピングモール、ホームセンターなどからも求人が出ています。また、一般用医薬品は特定販売(インターネット、電話、カタログ)も認められており、活躍の場が広がっています。
■マネジメント職への可能性
一般用医薬品販売の接客スキルを積みながら、店舗管理にも取り組むことで、店長などのマネジメント職への道が開かれます。
登録販売者資格を持っている人に店舗管理や部門管理を任せる、としている企業も多くあり、資格を持っていることがキャリアアップに有利に働きます。
■ 資格手当
勤務先によっては資格手当が加算され、給与アップが期待できます。
■磨かれる接客スキル
さまざまなお客様が来店するので、人と接することが好きな人にはうってつけの資格と言えるでしょう。ときにはクレーム対応などハードな仕事が発生する可能性もありますが、接客を通じて感謝されることが多く、成長ややりがいを感じられます。
■誰でも資格が取得できる
既述のとおり、登録販売者の資格取得に学歴や経験は問われません。どなたでも受験ができます。
まずは各都道府県で実施される「登録販売者試験」を受験します。試験合格後は、店舗がある都道府県へ販売従事登録申請をして、知事の承認を経て登録販売者として働くことができます。
登録販売者の将来性
少子高齢化が進む日本では、医療費をはじめとする社会保障費の増大を課題としています。その解決策のひとつとして国は「セルフメディケーション」を推進しています。セルフメディケーションは直訳するなら「自分の病気は自分で治す」というもので、病院で医療費を安易に使わず、ドラッグストアなどで入手できる一般用医薬品を利用し、自分で治す意味合いです。例えば軽い風邪など、ドラッグストアで購入した薬で治れば医療費の削減につながります。
ドラッグストア以外のさまざまな店舗で医薬品が扱われるようになったのは、こうした背景があり、従って登録販売者のニーズはさらに高まっていくと予想されます。
他にも、国が推進する「地域包括ケアシステム」においても、医薬品の専門知識をもつ登録販売者の活躍が見込まれており、将来性の高い職業のひとつといえるでしょう。
まとめ
・「登録販売者」は2009(平成21)年の改正薬事法によって新設された資格です。
・登録販売者は薬剤師に次ぐ医薬品のスペシャリスト。一般用医薬品のうち、第2類医薬品、第3類医薬品を扱うことができます。
・接客スキルを磨くのにもピッタリな仕事です。
・セルフメディケーション、地域包括ケアシステムを国が推進していることもあり、登録販売者の需要がますます高まっています。
・活躍の場はドラッグストアや薬局以外のコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ホームセンターなどに拡大しています。
今後、ますますニーズが高まりそうな登録販売者。資格を活かし、ドラッグストアをはじめとするフィールドで接客の腕を磨いてみませんか?ゆくゆくはマネジャー職に挑戦したいという人も、登録販売者の資格が役に立ちます。
登録販売者の資格をお持ちの方、これから取得を考えている方の転職は、スギ薬局グループ「キャディカル登販.転職」がサポートします。
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