登録販売者とこれから目指す方へ。需要増の背景と賃金・キャリアアップの方法

薬剤師に次ぐ薬のスペシャリストとして注目を浴びている登録販売者。需要も資格保持者も増加傾向にある背景や、登録販売者の賃金、差別化やキャリアップの方法について解説します。

登録販売者の需要は高まる一方

登録販売者とは、厚生労働省が定める公的資格です。薬剤師に次ぐ医薬品のスペシャリストで、第一種医薬品以外の一般用医薬品の販売、カウンセリングを行なうことができます。

登録販売者は、2009年の薬事法改正時、薬剤師の負担を軽減する目的で誕生しました。これと同じタイミングで、薬局やドラッグストアだけでなく、コンビニエンスストアや家電量販店などでも一般医薬品を販売できるようになりました。その後、2014年の薬事法改正では、一般医薬品をインターネットでも販売できるように。

さらに2021年には、それまで医薬品販売のネックとなっていた「2分の1ルール」、つまり医薬品を販売する店舗では営業時間の半分以上の時間、薬剤師か登録販売者を配置しなければいけないというルールが廃止されたことで、医薬品を取り扱うコンビニエンスストアや、ドラッグストアや調剤薬局を併設したコンビニエンスストアも増えてきています。

こうして一般医薬品が販売できる場所が増えたことで、登録販売者の活躍の場がどんどん広がっていきました。そして現在、軽い不調なら病院に行かず、市販薬でケアする「セルフメディケーション」、高齢者が住み慣れた住まいで自分らしく暮らし続けるために住まいや医療、介護などを包括的に提供する「地域包括ケアシステム」の推進により、登録販売者の需要がさらに上昇。登録販売者は、店舗にとっても、お客さまにとっても、地域にとっても、なくてはならない存在となっています。

登録販売者は増加傾向

需要が高まっていることに加え、2015年の法改正で学歴と実務経験が不要になった背景もあり、ここ10年ほど受験者数は増加傾向にあります。

登録販売者試験の合格率は40%〜50%、必要な勉強時間は約400時間といわれています。難易度としてはそれほど高くなく、上記のように受験資格もないので、まったくの未経験者でも挑戦しやすい資格となっています。

登録販売者の賃金は?

需要が高まる登録販売者ですが、賃金はどのくらいなのでしょうか。働く地域や勤務先にもよりますが、正社員の平均年収は300~400万円ほど。資格手当や夜勤手当が支給されるとさらに増えますが、全体の平均年収よりもずば抜けて高いというわけではありません。

パートなどの場合は、資格手当を含めて時給900~1,200円程度が多くなります。

傾向として、ドラッグストアよりもコンビニエンスストアの方が人材不足のため、賃金が高くなることが多いといえます。登録販売者として働ける職場はさまざまなので、よく比較検討することをおすすめします。

関連する資格を取れば差別化に

登録販売者が増えている今、もう一歩進んで、差別化を図るのもひとつの手です。登録販売者と他の資格で得た知識を組み合わせることで、より専門的な人材として重宝されることでしょう。特におすすめの資格は以下の3つです。

●医療事務

登録販売者では扱えない、病院でしか処方されない医薬品についての知識も深まるので、お客さまの相談に乗る際に大変役立ちます。病院でも働くことができるので、勤務先の幅が広がることもメリットです。

●漢方アドバイザー

医薬品だけでなく漢方についてもアドバイスできることで、よりお客さまからの信頼も深まります。医薬品と組み合わせたセルフメディケーションを提案できるとなると、就職にも有利になりそうです。

●リテールマーケティング(販売士)

商品や販売技術、仕入や在庫管理、マーケティングなどの知識を有し、流通・小売業界で活躍できる「販売のプロ」資格です。登録販売者として医薬品の知識もあり、販売にも強いことをアピールできるので、流通・小売業界への就職は非常に有利になります。

店舗管理者になってキャリアアップ

登録販売者はいち従業員ですが、その上のキャリアとしておすすめなのが店舗管理者です。ドラッグストアの店舗の責任者という立場になるので、責任も重くなりますが、賃金も当然アップします。

管理者になるためには、以下の3つのうちいずれかを満たす必要があります。

(1)過去5年間のうち、通算2年以上(1920時間以上)の実務経験がある。

(2)過去5年間のうち、通算1年以上(1920時間以上)の実務経験があり、かつ継続研修並びに追加的研修を修了している。

(3)通算1年以上の実務経験があり、かつ過去に管理者として業務に従事した経験がある。

店舗管理者になれば、そこからさらにエリアマネージャー、スーパーバイザーとキャリアを積んでいくことも可能です。役職が付けばさらに賃金も上がり、やりがいも増すことでしょう。

また実務経験などの条件を満たし、開業許可や販売許可を取得することができれば、独立して開業することもできるようになります。

登録販売者をスタートに、さまざまなキャリアを考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

・登録販売者の需要は年々高まっていて、活躍の場も広がっています。

・登録販売者はここ10年増加傾向が見られ、チャレンジしやすい資格です。

・登録販売者の賃金は、資格手当などを含めると一般の従業員よりも高くなるものの、ずば抜けて高いわけではありません。

・医療事務、漢方アドバイザー、リテールマーケティングなどの関連資格を取れば差別化につながり、賃金アップも狙えるかもしれません。

・店舗管理者になってキャリアアップを図るのもよさそうです。


登録販売者の活躍の場はこれからもどんどん増えていくので、就職先に困ることはそれほどなさそうです。ただ働ける場所が多ければ多いほど、どこで働くのが一番いいのか迷ってしまうもの。よろしければ、スギ薬局グループの「キャディカル登販.転職」のキャリアアドバイザーが、あなたと一緒に理想の職場探しをお手伝いします。

お困りのことがありましたら弊社お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください!

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